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2020-06-02

BUTTER(柚木麻子 著)-食をめぐる依存関係。適量を見つける。新しいコミュニティのかたち-

久しぶりに小説の世界にどっぷりつかりました。幸せな時間!

物心ついてからずっと本は大好きです。大人になってからもクリニックに勤めていた頃はどちらの気分になっても良いように毎日2冊バッグにいれて通勤していたな〜。何かに悩んだり、モヤモヤすると必ず本屋へ行っていたし、お酒を飲んだ後にもよくふらっと寄っていました。

松村先生の月星座の本の9ハウス月の説明箇所に「本屋で気がついたら大量の本を買っていた」と書いてあってものすごく納得した覚えが…(月はただの自動運転になっていることもあるので時に行動の制御が必要です)

特に、食の描写がたくさん出てくる小説が大好き。

今回読んだのはこちら。これを読んで銀座ウエストのバターケーキは近いうち必ず食べると誓いました 笑 。濃厚な一冊。

BUTTER(柚木麻子著)ざっくりあらすじ


(家の近所のカフェ。限定10名の水出しコーヒー。氷までしっかりコーヒーで溶けても薄まらず美味しい〜)

2009年に発覚した首都圏連続殺人事件がモチーフになっているお話です。

主人公の里佳は、仕事に邁進しつつも殺伐をした日々送る週刊誌記者 。
拘置所にいる“カジマナ”(木嶋佳苗死刑囚がモデルになっている)に取材を試みることになります。

カジマナを知ろうとする中で、彼女の誘導により食の手ほどきを受けることになります(それは「バター醤油ごはんを作りなさい」からはじまる)。
そして里佳は少しづつ自らの欲求とその適量について真剣に考えるようになっていく、というストーリー(ちなみに木嶋佳苗死刑囚の月は生まれた時間によって、牡牛座か牡羊座らしい。個人的には牡牛座の初期度数なのではないかと思う…)。

占星術的に言うと、この小説はコテコテに蠍座ー牡牛座の180度ラインの話なのだけど、実に水瓶座的なラスト。スクエアって大切なんだな〜と思いました。横槍的なエネルギーと言われるけど、風穴とか第3の道を提示してくれるものでもあるんだなぁと。

BUTTER(柚木麻子著)を読んで


BUTTER 柚木麻子 著

料理は誰かが喜んでくれることがモチベーションという声もよく聞くけど、本来はまずシンプルに「自分を生かすための作業」だとしみじみ思いました。誰かに作ってあげて嬉しいとか、みんなでシェアして楽しいとかって多分その先にあること。

料理って、火と水と刃物を使って、手や服を汚して、自分の欲求や体調に向き合うとてもワイルドな作業だと思う。どんな食材を選んで、どんな調理法で、どんな味付けにするか、いちいち感じて考えて、あーこの味この味と思ったり、なんか足りなかったな〜と振り返ったり。

小さい頃は皆誰かに欲求や体調を察してもらってケアしてもらう必要があるし「自分の血肉になるものをつくる作業」を他者にまかせることで生かしてもらう。

けれど、その作業を大人になっても完全に誰かに任せてしまうと、大人同士でも時に「小さい子どもとその養育者」のような依存関係を生んでしまうんだろうなぁと。

その関係性がずーっとうまいこと続けば良いのかもしれないけど、もし一方的に与えられていたものがある日突然パッとなくなったら?こどもだったら死んでしまうし、大人でも緩やかに死んでいくようなことがあるのだと思う。

この小説には、男性のセルフネグレクトの問題にも触れています。

「肉体の状態や感情を察する力」は、なぜだか女性の方が優れているとされているし、その能力は時に「母性」という名前で呼ばれて、なぜだか女性の方が多く求められる。

確かに小さな子どもを育てる養育者にはある程度必要な能力かもしれないけれど、それって本来はただ「自分の肉体や感情のケアをしてきて培ったもの」の延長線上にあるだけな気もする。

「誰かに生かしてもらう時期が終わった後、自分で自分のからだや感情のめんどうををどれだけみてきたか」というだけのような気がしてしまう。本来は。性別関係なく。

 

女性同士の友情や夫婦や家族を超えた新しい形のコミュニティもテーマとなっている作品です。
登場人物としては、主人公の親友の玲子がとても好きだなぁ。かしこくて、激しくて、完璧に家事をこなしながらもロックで。

美味しそうな描写が出てくるもの(牡牛)と人間の深い心理が描かれているもの(蠍)が大好きです。どちらも満たされる小説でした。

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